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2005年08月15日 (月)

CategoryImage亡国のイージス

ユナイテッド・シネマとしまえんで「亡国のイージス」を観た。元々、阪本順治監督の映画は好きなので、期待して行った。概ね面白いと思うし、昨今の日本映画にしては珍しく骨太なんだけど……惜しい。(本文ネタバレ注意デス)


各所で言われている事だけど、端折り過ぎ。想像するに撮りはもう少しあったのじゃないだろうか。最初からこの脚本でクランクアップしたとは思えない。総尺127分と言う事だから、邦画としてはかなり長編の部類。土壇場(プロデューサー試写後かも?)で泣く泣く切らざるを得なくなったのかな、と。ただ、幸か不幸か人物関係以外の設定関係はいささか未消化とは言え、くどくど説明しないのは良かった。段取り踏んで説明されてもあまり頭に入らないもんだし、構成上、前に入れときゃいいのに、と思った部分がなくはなかったけれど、説明自体はこの位で却って良かったと思う。原作はコミック版の途中までしか読んでいないので明るくないけれど、編集の力もあってか何とかついて行ける内容になっていたと思う。

不満は人間関係の描写に尺が取り切れていなかった事に尽きる。この辺、阪本順治監督らしくもない、と言う感じ。如月と他の自衛官たち、それをフォローする不器用で根が生真面目な兄貴(親父?)的存在の先任伍長、仙石、この辺だけでもしっかり押さえておけば、感情移入の度合いがかなり違ったんじゃないかと思う。ヨンファとジョンヒの関係や(如月とジョンヒの関係に至っては訳ワカメ)が端折られるのはもう仕方ないとしても、主人公であり物語の牽引役である仙石が掘り下げられていないのは決定的な欠陥だった。原田美枝子の宮津嫁の下りなんて完全にオマケにしか見えないし、空自のパイロットがなんで真木蔵人なのかもさっぱり。対策本部での政治家たちの確執も中途半端に長いし、あの辺はばっさり落としてでも、前半の描写を念入りにやって欲しかった。クランクアップ後、編集で切らざるを得なかった、と想像したのはつまりそういう事で、さすがにあの辺のキャストのシーンを落とすわけには行かなかったと言う所だろう。

と、大きな不満点は残ったものの、全体的に観れば昨今の邦画としてはとても良く出来ていると思う。何より役者陣がとても良かった。仙石は真田広之よりもう少し太めでイモっぽいイメージの方が良いと思ったけれど、他にあの世代の役者で誰が?と想像を巡らせてみるも、ぴったりとしたキャスティングが思い浮かばなかった。中井貴一は想像に違わず不気味(と言うか変?もちろんいい意味で)だし、ちょっと同じような役回りが多いような気がする佐藤浩市も無難にこなしていた。若手の勝地涼も如月の荒んだ感じを良く出していたし、安藤政信もその同類に位置する対比として生きていた。寺尾聰も憂国の士でありながら人の親であり、てな微妙な役どころにぴったりはまっていた。個人的には一癖ある内閣情報官役の岸部一徳がお気に入り。海自の全面協力を得て借りたイージス艦も迫力があったし、セットやミニチュアもしっかり出来ていた。何より粗が見えないような撮られ方も徹底していた。日本映画はこの辺、以前は不得手だったので進歩を感じる。実はクレジットを見て初めて気付いたんだけど、特撮監督は同級生の神谷誠くんでした。だからと言うわけじゃないけど、いそかぜの爆発は本物と見劣りしなかったように思う。直後の沈没シーンは腰砕けだったけど……。前半のミサイルの発射シーンなども良く出来ていた。恐らくうまく行ってるのはミニチュア絡みで、失敗してるのはCG絡みなんじゃないかと想像。日本の特撮業界的には、この辺が今後の課題かなぁ。

まとめると、原作ファンには物足りないだろうし、予備知識なしではいささか突き放される所がある映画だけど、決してついて行けない事もない。観て損はない映画かな、と思った次第。まだまだ日本映画も元気だな、と。

Posted by at 08:10


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