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2006年10月02日 (月)

CategoryImageグエムル -漢江の怪物-

グエムル -漢江(ハンガン)の怪物-」をユナイテッド・シネマとしまえんにて観賞。先々週辺りに修羅場の中をこっそり観ていたのだけど、レビュー忘れてました。結論から先に言ってしまえば必見の映画。そもそもモンスターパニック映画が嫌い、とか汚いのが嫌いとかじゃなければ、須く観るべし。本文はネタバレ注意です。


とにかく最初に怪物が現れる休日の川岸のシーンが素晴らしい。そこからその後の合同通夜(?)のシーンまで、劇場で笑いが止まらなくなったのは本当に久しぶり。実はこのシーンが面白いとは事前に聞いていたのだけど、やはり本当の映像の力と言うのはネタバレなんか物ともせず、見る人の感情を根こそぎ持って行ってしまう物なんだ、と言う事を改めて再認識。ポン・ジュノ監督は今村昌平の影響を色濃く受けているそうだけど、さもありなんなブラックユーモアと、真っ黒な皮肉。同監督の「殺人の追憶」もそうだったが、本当に悲惨な出来事の中には笑いが潜んでいる。

ぶっちゃけ、シナリオは細部に辻褄が合わない所が多々有るし、前半のテンポに比べて中弛みと感じる所も有る。スポットを観る限りは売りらしいペ・ドゥナのアーチェリーも、モチーフとしては今時だけど、まあ、さらっとした描写(だけどずっとジャージなのは、何となく萌えるかもw)。特撮もハリウッドスタッフに外注したと言う割には粗削りで、怪物の走りなどは重量感(そもそもデザインの問題か……足ヒレで歩くと言うのがなんともひ弱だ)に欠ける。しかし、それでもこれはアリだと思わせてしまう力がこの映画にはある。源は人物像のリアリティと、虚構の馬鹿馬鹿しさとの飛躍ぶりだろう。

ソン・ガンホ演ずる馬鹿(肉体的な意味でも社会的な意味でも)で頼りない、怪物に誘拐される少女の父親。浮気性(博打好きだったかも?)で働かず、妻に逃げられ、唯一残った最後の財産は川岸の売店(と子供たち)と言うピョン・ヒボン演ずるその父(少女からすれば祖父)。かつては学生運動に血道を上げていたらしい、役立たずの兄を小馬鹿にし続けるパク・へイル演ずる弟(少女からすれば伯父)。ハングリー精神からか、アーチェリーで身を立てる事を志したペ・ドゥナ演ずる妹(少女からして伯母)。そしてコ・アソン演ずるちょっとブチャイク(だけど恐ろしく演技達者)な、怪物に誘拐される少女……。この社会の最下層に位置するであろう一家を中心に繰り広げられる怪物(と体制)への挑戦は、荒唐無稽でありながらも、その息遣いや質感が実にリアルで生っぽい。特撮部分の軽さをカバーして有り余るリアリティと力強さがそこには有った。逆に言えば、わざと手ぬるいまま特撮部分を残したんじゃないか、と邪推してしまうくらいに。

最後に、この映画のポン・ジュノ監督の意図には、反米、反体制なメッセージがどす黒く、また分かり易く込められている。日本の、特に学生運動など匂いも知らない世代にとってはあまりリアリティはないだろうし、寧ろ、煙たく感じる部分も有るだろう。しかし、それらをこれだけの熱量を持って、まずはその辺置いておいても、と注釈付きでオススメ出来る作品に仕上げる所に、韓国映画の勢いを感じてしまう。俺もがんばろう!と褌(トランクスだけど)締め直したのでした。

Posted by at 20:06


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